川柳長屋 ブライス荘

R.H.BLYTH @ ZEN = Senryu


ブライス川柳の笑い

2016年10月

「私どもは 毎日笑いを経験しているが、
その笑いはきわめて雑多である。・・・
私どもは ふだん卑俗な笑いを余儀なくされているが
しかし 心の底では 本当に人生を祝福し、
生活の調和をたたえるような
笑いを求めているだろうと思う。」
麻生磯次『笑いの文学』講談社 昭和44年

雑多な笑いの川柳から 人生を祝福する笑いの川柳へ
            家守


長屋移転のお知らせ

2016年10月

移転先:http://tubouchi.hatenablog.jp
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   掲載無料期間終了

Zen is essence of Christianity, of Buddhism, of culture, of all that is good in daily life of ordinary people. All beauty, all music, all religion, all poetry, is dancing of the mind. Without this dancing of the spirit, there is no true Zen.
禅は詩 詩は禅
川柳は一種の悟りであるから 詩である。
禅はキリスト教のエッセンスであり
仏教のエッセンスであり 文学のエッセンスである。
         ブライス

ブライスは「禅は詩、詩は禅」と繰り返すが、詩が宗教であるとは、ただちには言い難い。竹村牧男によれば「宗教は平常底であると同時に、常に詩である。」
良寛の詩は寒山詩の領域にある。

形見とて 何かのこさむ
  春は花 山ほととぎす 
   秋のもみじ葉    良寛

春は花 夏ほととぎす 秋は月
   冬雪さえて すずしかりけり
             道元

自性は能く万法を含む
             慧能

(2)  ブライスも、その師 鈴木大拙も仏基一如の説である。仏教とキリスト教は本質において等しい、とする考え方はユニーク(超少数派)か?

 キリスト教文学の遠藤周作はその著書「深い河」で、主人公大津神父に
「玉ねぎがヨーロッパの基督教だけでなく、ヒンズー教のなかにも、仏教のなかにも生きておられると思う・・(講談社1993年版296頁)」と言わせている。大津は「神」とか「主」という日本語はさけ、「玉ねぎ」と表現する。玉ねぎとは、無限の優しさと愛のかたまりであるとする。ガンジス河は玉ねぎという愛の河であり、そこでは、それぞれの人がそれぞれのツラさを背負って祈っている、というのが「深い河」のモチーフ、というのが家守の説。


ブライスの生涯

2016年10月

1898年 イギリスに生まれる
第一次大戦 兵役拒否で入獄
1924年 京城帝国大学 外国人教師となる
1927年 鈴木大拙の禅に出会う
第二次大戦 外国人として神戸の収容所へ
1945年 天皇の人間宣言を起草
1949年〜 俳句 禅 川柳の英訳 出版 海外で禅と俳句のブーム起こる 鈴木大拙以外の日本の禅を拒否
1964年10月28日 病床でハワイ行きを希望しつつ 逝去


秀句

2016年10月

国の母 生まれた文を抱き歩き
花嫁の みやげは里へ生き菩薩
寝ていても うちわの動く親心
ひょいと立つ 子に家中が立つ
背比べ手をやわらかに下げている
うれしがり座敷を歩く紅緒下駄
糸巻きに可愛いげんこ二つだし
紙びなに相撲取らせる男の子
うつくし過ぎて入れにくい傘
馬子唄に二人ひれ伏す麦の中
鶴折って恋しい方へ投げてみる
母の手を握ってこたつ仕舞われる
ほんのりと娘返事を顔に出し
たらたらとおさらば言わぬ女客
孫どもの荒いあんまが御意にめし
医者衆は辞世をほめて立たれけり
安弔ひの蓮のあけぼの
なきなきも良い方をとる形見分け
   古川柳 選 家守


英文川柳

2016年10月

So beautiful,
As though she was born
Without parents.
親もなく生まれたように美しき

By her needle-work
He who was to come
Has not come, it seems.
来る人が 来ぬと見えたる 針仕事

At the sound of footsteps,
The shadow
Divides into two.
足音で 二つに別れる影法師

With your little pads,
What is it, kitty,
You want to say to me? Shouichi
てのひらで子猫よ何を訴える 正一

When I think it is mine,
How light it is,
The snow on my kasa.
わがものと思へば軽し笠の雪

古川柳 翻訳 by R.H.Blyth